特許出願前にアイデアを話しても大丈夫?

読了4分 創業者ブログ

試作品を見せたい、投資家に説明したい、クラウドファンディングで需要を確かめたい。どれも事業として自然な行動です。しかし順番を誤ると、その発表自体が特許取得の妨げになります。

実務上の安全策は明快です。発明を十分に説明する出願を済ませるまで、内容を秘密に保つこと。

自分の発表も先行技術になり得る

特許を受けるには発明が新規でなければなりません。欧州特許条約では、基準日より前に、書面、口頭、使用その他の方法で公衆に利用可能になったすべてが技術水準に含まれます。

公開したのが競合企業か発明者本人かは、本質的な違いになりません。自社サイト、プレゼン、論文、デモが、後の出願に対する先行技術になることがあります。一度公開された事実は、投稿を削除しても消えません。

欧州は特に厳しい

欧州には、発明者自身による公開を広く救済する一般的なグレースピリオドがありません。明白な濫用や、所定の公認国際博覧会での展示など、例外は非常に限定されています。通常の製品発表、デモデイ、SNS投稿はこの例外を期待できません

米国では、発明者に由来する一定の開示について条件付きで12か月の例外があります。他国にも独自制度がありますが、効果は国ごとです。米国で出願できても、欧州ではすでに手遅れということがあります。国際展開の可能性があるなら「猶予期間はない」と考えて動く方が安全です。

何が公開に当たるのか

正式か非公式かではなく、秘密か、公衆がアクセスできるかが分かれ目です。例えば次の行為には注意が必要です。

  • SNS投稿、動画、論文、学位論文、プレプリントの公開
  • 商品ページやクラウドファンディングの開始
  • 展示会や学会での一般向け実演
  • 守秘義務のない相手へのピッチ
  • 販売、販売の申出、商業利用
  • コード、図面、試験結果を公開リポジトリへ掲載

販売や非公開の商業利用の扱いは法域で異なります。その違いを安全策にはしないでください。守秘関係の外にいる人が発明を理解できる状態なら、公開リスクとして扱うべきです。

弁理士との相談は秘密として扱われます。適切なNDAの下にある取引先や、守秘義務を負う従業員との共有も、通常は公開になりません。それでも共有範囲を絞り、記録を残しましょう。

薄い仮出願では守れない

「発表前に出願」は正しいものの、とりあえず短い文書を提出すれば万全という意味ではありません。後に主張したい発明を、最初の出願が十分に裏付けている必要があります。

米国の仮出願(provisional application)は早い出願日を確保し、12か月の優先期間を始める手段です。ただし実体審査はなく、それだけで特許になることもありません。後のクレームがその日付を使えるのは、仮出願に十分な記載がある範囲だけです。出願後の改良は、公開前に追加出願が必要な場合があります。

仮出願は米国の制度です。市場や戦略によっては、日本、欧州その他での第一国出願が適しています。

安全な進め方

  1. 発明を整理する: 仕組み、必須構成、代替例、図面を記録する。
  2. 先行技術を調べる: 本格的な費用をかける前に既知技術を確認する。
  3. 出願方針を決める: 市場、権利帰属、期限、予算を考慮する。
  4. 十分な内容で出願する: 公開予定の特徴を記載できているか確認する。
  5. その後に公開する: 後の改良は必要に応じて別途保護する。

Patentaでは、普段の言葉で発明を説明し、100以上の特許庁から1億6,000万件超の文献を横断検索し、同じ技術情報を構造化された初稿へつなげられます。法的助言や正式出願の代わりではありませんが、弁理士への相談をより具体的にできます。

まとめ

永遠に秘密にする必要はありません。調査を行い、十分な出願で日付を確保するまで秘密にすればよいのです。覚える順序は、調査、出願、公開です。

投稿やピッチの前に、Patentaで先行技術を確認しましょう

よくある質問

特許出願前に発明について話してもよいですか?
有効な守秘義務を負う相手との相談であれば、通常は公衆への開示にはなりません。一方、一般公開すると、欧州をはじめ多くの国で新規性を失うおそれがあります。海外での権利化も考えるなら、原則は公開前に出願です。
NDAを結んで共有すれば公知になりますか?
適切な秘密保持義務が有効に成立していれば、通常は公衆に利用可能になったとは扱われません。ただし契約内容と共有時の状況が重要です。必要な情報だけを伝え、誰に何をどの条件で共有したか記録してください。
自分で公開した後にグレースピリオドはありますか?
国によって異なります。米国には、発明者に由来する一定の開示について条件付きで12か月の例外があります。欧州には一般的な猶予期間がなく、例外はごく限定的です。米国で救済されても欧州での権利が残るとは限りません。
SNS、クラウドファンディング、ピッチ、販売も影響しますか?
はい。公開投稿、キャンペーンページ、動画、学会発表、実演、販売や販売の申出は問題になり得ます。細かなルールは国ごとに異なりますが、聞き手が少ないことや非公式な説明であることだけでは秘密になりません。
最も安全な順序は?
先行技術を調べ、発明を十分に記載した出願書類を準備し、秘密でないピッチや発表より先に出願します。米国の仮出願を最初の出願に使う方法もありますが、後の優先権を支えるのは十分に記載された内容だけで、期限内の後続出願も必要です。